実家じまい費用はいくらかかる?内訳と節約ポイント7選を解説

- 実家じまいの主な費用は「片付け(遺品整理)」「解体」「不動産処分」「諸手続き」の4つに分かれる。
- 空き家の解体補助は自治体ごとに上限額が違い、東京都北区は解体費の2分の1・上限80万円、横浜市は最大50万円。
- 相続した居住用家屋の売却には、要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円の特別控除がある(2027年12月31日まで)。
- 補助金より、3,000万円特別控除など税制優遇のほうが金額のインパクトは大きい。
- まず始めるべきは家族会議。誰が主導し、費用をどう負担するかを最初に決めると後でもめない。
実家じまい費用の結論

実家じまい費用は「片付け・解体・不動産処分・手続き」の合計で、補助金と税制優遇をどれだけ使えるかで100万円単位で変わります。
私が現場で見てきた中で、いちばん差が出るのは「制度を知っているかどうか」です。同じ規模の家でも、3,000万円特別控除を使えた家と使えなかった家では、最終的に手元に残る金額がまるで違いました。
正直に言うと、解体の自治体補助は上限50万円前後のことが多く、総額に対しては小さいです。インパクトが大きいのは売却時の税制優遇のほう。ここを押さえてください。
人生100年時代を生きるキーワード:実家じまい
実家じまいは、親世代の住まいを次の暮らしへ引き継ぐための整理であり、もはや特別な人だけの話ではありません。

親が長く生きるほど、空き家になった実家を抱える期間も延びます。固定資産税は払い続け、傷んでいく家の維持に終わりが見えない。これが今、多くの家庭で起きていることです。
私は相続の相談を受けるたびに思います。早く動いた家ほど、感情も費用も無理なく整理できている、と。
1.実家じまいとは
実家じまいとは、誰も住まなくなった実家の片付け・処分・各種手続きをまとめて行い、住まいを「たたむ」ことです。
単なる引っ越しや解体と違うのは、親の人生が詰まったモノと、不動産という大きな資産の両方を同時に扱う点です。気持ちの整理とお金の判断が、いっぺんに押し寄せます。
だからこそ、感情と費用を分けて考える。これが失敗しないコツだと、私は現場で何度も実感してきました。
(1)【一覧】実家じまいでやること

実家じまいでやることは、大きく「話し合い」「片付け」「不動産の処分」「手続き」の4ステップに整理できます。
| ステップ | 主な内容 | つまずきやすい点 |
|---|---|---|
| 家族会議 | 主導者・費用負担・実家の今後を決める | 誰が動くか曖昧なまま放置される |
| 片付け(遺品整理) | 不用品の処分、貴重品・書類の捜索 | 量が多く自力で終わらない |
| 不動産の処分 | 売却・賃貸・解体を選ぶ | 名義(相続登記)が済んでいない |
| 各種手続き | 相続登記、解約、補助金・税申告 | 期限のある手続きを見落とす |
この中で最初にやるべきは家族会議です。順番を間違えると、片付けの途中で「やっぱり売らない」と話が戻り、費用も時間も無駄になります。
(2)実家じまいを検討するタイミング
実家じまいを検討するベストなタイミングは、親が元気なうち、または施設入居・相続が発生した直後です。

親が元気なら、本人と一緒にモノの要不要を判断できます。これが何よりありがたい。亡くなった後だと、何が大切なものか分からず、捨てるたびに手が止まります。
私が勧めないのは「とりあえず空き家のまま様子を見る」という選択です。固定資産税は止まらず、家は確実に傷み、解体費はむしろ上がっていきます。
2.実家じまいにかかる費用
実家じまいの費用は「片付け」「解体」「不動産処分」「手続き」の4種類で構成され、これに補助金と税制優遇を差し引いて実質負担が決まります。
解体補助の上限は全国で50万円前後から200万円程度まで幅がありますが、これは自治体ごとに違い、一般的な目安としてしか使えません。
逆に、国の3,000万円特別控除は全国共通で使える制度です。売却を前提にするなら、補助金より先にこちらを確認してください。
(1)実家じまいにかかる具体的な費用

確実に言える数値だけを並べると、解体補助は東京都北区が上限80万円、横浜市が最大50万円、北九州市が最大30万円です。
| 制度・自治体 | 対象 | 補助額・控除額 | 期限・条件 |
|---|---|---|---|
| 東京都(家財整理補助) | 都内の空き家の家財整理費用 | 費用の2分の1・上限5万円(税抜・1,000円未満切捨) | 要確認(自治体要綱) |
| 東京都北区(解体補助) | 1年以上居住していない等 | 解体費の2分の1・上限80万円 | 要確認 |
| 横浜市(解体補助) | 2000年5月以前建築の木造で耐震性が低い住宅 | 最大50万円 | 要確認 |
| 北九州市(除却補助) | 危険な空き家 | 除却工事費の3分の1以内・最大30万円 | 要確認 |
| 札幌市(危険空家等除却補助) | 危険空家等と判定された家屋 | 上限50万円(通常型)/150万円(地域連携型) | 令和8年5月15日以降に事前確認依頼が必要・除却費の消費税は対象外 |
| 国(相続空き家の特別控除) | 被相続人の居住用家屋と敷地の売却 | 譲渡所得から最高3,000万円控除 | 2027年12月31日まで |
札幌市の制度は条件が細かく、除却工事費に消費税及び地方消費税を含めることはできません。補助額は工事費や標準除却費をもとにした計算額のうち低い額が上限になります。
国の特別控除は2024年1月1日以降の売却から扱いが変わり、耐震性のない家屋でも、売却の翌年2月15日までに耐震改修工事を行えば控除対象になります。
(2)実家じまいの費用を抑えるためのポイント7選
費用を抑える最大のポイントは、補助金より先に「相続空き家の3,000万円特別控除」が使えるかを確認することです。

| No | ポイント | 効果の大きさ |
|---|---|---|
| 1 | 売却前提なら3,000万円特別控除の要件を満たすか確認する | 大(最高3,000万円控除) |
| 2 | 解体補助の有無を自治体の公式要綱で確認する | 中(上限50万円前後が多い) |
| 3 | 家財整理の補助(東京都なら上限5万円)を申請する | 小 |
| 4 | 片付けは自分でできる分を進め、業者は仕分け後に頼む | 中 |
| 5 | 解体と売却どちらが得か、更地化前に比較する | 中〜大 |
| 6 | 耐震改修で控除対象になるなら、売却翌年2月15日までに行う | 大 |
| 7 | 相続登記を早めに済ませ、売却の機会を逃さない | 中 |
正直なところ、4の「自分でできる分は自分で」は地味ですが効きます。業者は分量で見積もるので、仕分けを済ませてから依頼するだけで金額が下がります。
逆に勧めないのは、補助金欲しさに解体を急ぐこと。家ごと売れる物件なら、解体せず売ったほうが手元に残ることが多いです。
(3)実家じまいで活用できる補助金の例
活用できる補助金の代表例は、自治体の「解体(除却)補助」と「家財整理補助」、そして国の「3,000万円特別控除」です。
紹介記事ベースでは、秩父市が「空き家解体費補助金」として上限50万円、墨田区が老朽危険家屋に最大200万円という例もあります。ただしこれらは最終確認を各自治体の公式要綱で行う必要があります。
3.実家じまいを行うまでの手順

実家じまいの手順は、家族会議→片付け→不動産の方針決定→転居・各種手続きの順に進めるのが、もめずに済む基本形です。
とくに不動産の処分は、相続登記が済んでいないと売ることも壊すこともできません。手続きの順番を間違えると、片付けが終わっても話が前に進まなくなります。
(1)家族会議と意思決定
家族会議で最初に決めるべきは「誰が主導するか」「費用を誰がどう負担するか」「実家を売る・貸す・壊すのどれにするか」の3点です。

私が相談を受けて一番もめるのを見るのは、この3点を曖昧にしたまま片付けを始めたケースです。途中で「勝手に捨てた」「お金は誰が出すんだ」と必ず火種になります。
おすすめは、最初の会議で結論まで出さなくていいから、方向性と次に集まる日だけは決めること。動き出しさえすれば、実家じまいは進みます。
- 主導する人を1人決める(複数人だと連絡が滞る)。
- 費用の負担割合をその場で口頭でも合意しておく。
- 売却・賃貸・解体のうち、どれを軸に検討するか方向性を決める。
- 相続登記の有無を確認し、未了なら早めに着手する。
よくある質問
実家じまいの費用について、相談現場でよく受ける質問に答えます。
よくある質問
最後に一つだけ。費用の話に追われると、親のモノを淡々と処分してしまいがちです。私は現場で、写真や手紙だけは別箱にして最後まで残すよう必ず伝えています。お金の整理と気持ちの整理は、分けて進めてください。
