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実家じまいの基本・手順

実家じまいとは?費用・進め方・業者選びまで徹底解説

梶田 尚子 / 更新:2026-06-24
実家じまいとは?費用・進め方・業者選びまで徹底解説
親が施設に入った、あるいは亡くなった。誰も住まなくなった実家をどうするか、頭が痛いですよね。結論から言えば、実家じまいは「家族で話す→名義を整える→片付ける→売却か解体」の順で進め、3ヶ月〜1年を見込めば大筋を間違えません。

私は相続実務に12年携わり、遺品整理の現場にも同行してきました。この記事では、費用の実数、税金の落とし穴、業者選びで損しないコツを、私が見てきたケースを交えてお伝えします。

特に「親が元気なうちに進める生前整理」と「相続後に進める実家じまい」では段取りも費用負担もまるで違います。そこも比較して整理しました。

実家じまいとは?意味と増えている背景

「まだ元気だから大丈夫」が危ない?実家の片付けを今始めるべき理由
「まだ元気だから大丈夫」が危ない?実家の片付けを今始めるべき理由

まず言葉の意味から。実家じまいとは、親や祖父母が住んでいた実家を子や孫が整理し、解体・売却・処分する一連の手続きを指します。

実家じまいの定義

相続の発生や親の施設入居をきっかけに、空き家となった実家を整理・処分すること。これが実家じまいです。

家財を片付け、名義を整理し、最終的に「売る」「解体する」「活用する」のいずれかに着地させます。単なる片付けではなく、不動産と相続が絡む点が厄介です。

実家じまいが増えている理由

理由はシンプルで、相続をきっかけに空き家が発生しやすくなっているからです。これは社会的な課題になっています。

親が長く一人暮らしを続け、施設入居や逝去で家が空く。子世代は別の場所で生活基盤を築いている。だから「住む人のいない実家」が残る。現場でいちばん多いパターンです。

実家じまいを始めるタイミング

正直に言うと、私が一番勧めるのは「親が元気なうち」です。本人と話せるうちに方向性を決めておくと、後の苦労が桁違いに減ります。

とはいえ現実は、施設入居や相続発生で慌てて動き出す人が大半。どちらにしても、片付けや売却手続きを含めて3ヶ月〜1年はかかると見ておくと焦りません。

生前整理と相続後の実家じまいの違い

ここは競合記事があまり踏み込まない論点です。でも、実務で見ていると、この違いを知らずに損する人が本当に多い。

生前整理と相続後の実家じまいの違い

親が存命中(生前整理)に進める場合

親本人が判断できるので、何を残し何を処分するかの意思確認ができます。思い出の品をめぐる兄弟げんかも起きにくい。

ただし、本人が「まだ住むかもしれない」と手放したがらないことがある。ここで無理に急かすと、関係がこじれます。

相続後に進める場合

相続後は、名義変更(相続登記)を済ませないと売却できません。ここで手続きが止まる人が多い。

一方で、税金面では相続後ならではの優遇があります。後述する「相続空き家の3,000万円特別控除」は、相続した空き家を売るときに使える制度です。

それぞれのメリット・デメリット比較

生前整理と相続後の実家じまい 比較
項目生前整理(親が存命中)相続後
意思確認本人とできる遺志を推測するしかない
家族のもめごと起きにくい遺産分割で割れやすい
名義変更不要(親名義のまま)相続登記が必須
使える税優遇住まいの3,000万円控除など相続空き家の3,000万円特別控除
心理的負担本人の抵抗が出やすい遺品整理で精神的に重い

私の立場をはっきり言えば、可能なら生前整理。家族で笑いながら荷物を分けられる時間は、相続後には戻ってきません。

実家じまいの進め方と全体スケジュール

手順は大きく4ステップ。①家族間で話し合う、②名義変更、③家財整理、④不動産査定・売却または解体。この順番が一般的です。

実家じまいの進め方と全体スケジュール

家族・親族で方向性を話し合う

最初にやるのはここ。売るのか、残すのか、誰がお金を出すのか。先に決めないと、後で必ずもめます。

私が同行した現場で、片付けの当日に「これは捨てるな」と親族が乱入してきたことがありました。話し合い不足は、こうして表面化します。

親の転居先を決める

親が存命なら、まず住む場所。施設なのか、子世帯との同居なのか。ここが決まらないと家の処分も決まりません。

介護や施設入所と実家じまいを並行する場合は、ケアマネージャーとの連携も忘れずに。入所手続きと片付けの時期が重なると、心身ともに消耗します。

実家の片付け・不用品を処分する

ここが一番きつい工程です。量も多いし、思い出も詰まっている。腰を据えて取りかかってください。

形見分けや仏壇など、感情が絡むものは後回しにせず、最初にルールを決めておくとスムーズです。

売却方法を決めて業者へ相談する

片付けの目処が立ったら、不動産会社に査定を依頼します。更地にしてから売るか、古家付きで売るかも、ここで相談を。

解体するか残すかで、後述の税控除の要件が変わります。先に税の見通しを立ててから動くのが正解です。

実家じまいにかかる費用と税金の目安

【実家じまい】高額な処分費用や親族間トラブルなど…早めに話し合う際のポイントは?|アベプラ
【実家じまい】高額な処分費用や親族間トラブルなど…早めに話し合う際のポイントは?|アベプラ

費用は読者が一番気にするところ。そして、税金の知識ひとつで数百万円変わることがあります。ここは丁寧にいきます。

不用品回収・解体・転居にかかる費用

不用品回収、家の解体、親の転居。この3つが主な出費です。解体については、自治体の補助で大きく抑えられる可能性があります。

自治体による解体・撤去費の補助例
補助には1年以上の空き家、昭和56年5月31日以前建築などの要件あり。財源は国土交通省の空き家対策総合支援事業。
自治体補助内容上限額
東京都北区解体費用の1/280万円
飯塚市解体費用の半額50万円
京都市京町家工事費用の1/2250万円
函館市対象経費の1/230万円

売却時にかかる費用と税金の注意点

売却益が出ると譲渡所得税がかかります。ここで効くのが「相続空き家の3,000万円特別控除」。売却益から最大3,000万円が控除されます(相続人が3人以上なら一人あたり2,000万円)。

ただし要件が細かい。次の表で確認してください。

相続空き家の3,000万円特別控除 主な要件
項目要件
建築時期1981年(昭和56年)5月31日以前の建物
建物種別一戸建て(マンションは対象外)
居住状況相続直前まで被相続人が一人で居住(老人ホーム入居も一定要件で可)
売却価格1億円以下
耐震要件耐震リフォーム、または解体して更地にする
売却期限相続から3年目の12月31日まで(2027年12月31日まで延長)

見落としがちなのが「一人で居住」の要件。親が誰かと同居していた場合は対象外になります。実際に該当しないケースをいくつも見てきました。

使える補助金・助成金や自治体支援

解体補助のほか、空き家バンクに登録して売却すると、残置物撤去やリフォームに使える補助が受けられる自治体もあります。

また、どうしても売れない土地は「相続土地国庫帰属制度」で国に引き取ってもらう道もあります。ただし建物がある場合は原則として解体して更地にする必要があります。

後悔しない業者選びと見積もり比較のコツ

業者選びは、実家じまいで一番お金とストレスが動くところ。私が現場で見てきた失敗から、具体的に伝えます。

後悔しない業者選びと見積もり比較のコツ

不動産業者の選び方

1社だけの査定で決めないこと。これに尽きます。査定額は会社によって平気で数百万円ちがいます。

地域の取引に強い会社か、空き家の売却実績があるかも確認を。古い家の扱いに慣れていない会社だと、話が進みません。

解体業者・不用品回収業者の選び方

解体は最低3社、相見積もりを取ってください。同じ家でも見積もりが倍ちがうことがあります。

不用品回収は、無許可業者に注意。一般廃棄物収集運搬の許可があるか、追加料金の有無を必ず書面で確認します。「トラック積み放題」の口約束は、後で追加請求の温床になります。

見積もりを比較するときの注意点

総額だけ見て決めないこと。内訳が書かれていない見積もりは、その時点で候補から外していい。

私が依頼者に必ず言うのは「処分費・運搬費・人件費が分かれているか」「追加料金が発生する条件が明記されているか」。この2点が曖昧な業者は、正直、勧めません。

売却以外の選択肢と放置するリスク

売るだけが答えではありません。一方で、決めずに放置するのが一番危険です。

売却以外の選択肢と放置するリスク

賃貸・空き家バンク・リフォーム活用の比較

立地や建物の状態によっては、賃貸に出す、空き家バンクに登録する、リフォームして使う、という道もあります。

売却以外の活用方法 比較
方法向いているケース注意点
賃貸駅近など需要のある立地修繕費・管理の手間が続く
空き家バンク地方・田舎の物件成約までに時間がかかる
リフォーム活用建物がしっかりしている費用回収できるか要試算

私見ですが、需要の薄い地方の家を無理にリフォームするのは慎重に。投じた費用を回収できないことが多いです。

空き家のまま放置するリスク

放置は損しかありません。管理されない空き家は「特定空家」に指定され、固定資産税の優遇が外れて税額が跳ね上がる恐れがあります。

さらに、屋根の崩落や草木の越境で近隣トラブルにも発展します。空き家のままにしていいことは、ひとつもありません。

名義変更・相続登記の手続きと必要書類

相続後に売る場合、相続登記は避けて通れません。2024年4月から相続登記は義務化され、放置するとペナルティの対象になります。

必要なのは被相続人の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍、遺産分割協議書、印鑑証明など。集めるのに時間がかかるので、早めに着手してください。

実家じまいの体験談・失敗談から学ぶ注意点

放置しても大丈夫?実家じまいでお金を数百万損しないためにやるべきこと
放置しても大丈夫?実家じまいでお金を数百万損しないためにやるべきこと

最後に、実務で繰り返し見てきた「つまずきポイント」を共有します。お金より、人の感情でこじれることが多いんです。

親への切り出し方と家族でもめないコツ

親に「家を処分しよう」と切り出すのは勇気がいります。否定から入ると、十中八九こじれる。

私が勧めるのは「お父さんお母さんが元気なうちに、一緒に整理しておきたい」という伝え方。処分ではなく、共同作業として誘うと話が進みやすい。

兄弟間では、お金の話と思い出の品の話を分けること。混ぜると感情論になります。

遠方から進める場合の段取りと帰省回数

遠方に住む子世代は、ここが本当に大変。私が見てきた範囲では、最低でも3〜4回の帰省が必要になります。

内訳はだいたい、話し合い・片付け・業者立ち会い・引き渡し。日程を先に押さえ、片付けは業者と分担して回数を減らす工夫を。

遠方だと、不用品回収と解体の見積もりを写真や動画でやり取りできる業者を選ぶと、無駄な往復が減ります。

形見分け・仏壇や神棚の供養と処分

仏壇や神棚は、捨てる前に「閉眼供養(魂抜き)」をするのが一般的です。お寺や神社に相談してください。

形見分けは、片付けの最初に「誰が何を受け取るか」を決めておくと後腐れがありません。写真や手紙は、デジタル化して残すと場所を取らず喜ばれます。

正直に言うと、ここを雑に進めると一生引きずります。急がず、家族で時間を取ってください。

実家じまいでよくある質問

相談現場でよく聞かれる質問を、簡潔にまとめました。

実家じまいでよくある質問

よくある質問

実家じまいとは?
親や祖父母が住んでいた実家を子や孫が整理し、解体・売却・処分する一連の手続きのことです。相続の発生や親の施設入居をきっかけに、空き家となった実家を整理・処分する場面で使われます。
実家じまいの費用は?
主な出費は不用品回収・家の解体・親の転居です。解体は自治体の補助が使える場合があり、例えば東京都北区は解体費用の1/2(上限80万円)、飯塚市は半額(最大50万円)を補助しています。空き家所在地が地域内で1年以上空き家であることなどの要件があります。
実家じまいの始め方は?
①家族間で話し合う→②名義変更(相続登記)→③家財整理→④不動産査定・売却または解体、の4ステップが一般的です。期間は3ヶ月〜1年が目安。まずは家族で「売るか残すか」「誰が費用を出すか」を決めることから始めてください。

迷ったら、まず家族で一度集まって話すこと。そして売却を考えるなら、複数の不動産会社に査定を頼んでください。動き出した人から、確実に楽になります。

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梶田 尚子

行政書士(相続・遺言専門) ・ 遺品整理業者への同行取材・業界調査歴8年

相続・不動産の実務に携わりながら、遺品整理や実家じまいの現場に足を運んで情報を集めています。読者が失敗しないよう、費用の実数や業者とのやり取りの具体例を丁寧に伝えることを心がけています。

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