家じまいとは?費用の目安から手順まで全て解説

- 家じまい(実家じまい)とは、家財整理から相続登記、解体・売却まで含めて実家を手放す一連の作業を指します。
- 相続登記は2024年4月1日から義務化され、取得を知った日から3年以内の申請が必要です。
- 正当な理由なく相続登記を怠ると、10万円以下の過料の対象になります。
- 昭和56年5月31日以前に建てられた空き家は、売却益から最大3,000万円を控除できる特例があります。
- 家じまいは家族の合意形成から始め、家財整理と不動産処分を順に進めるのが基本です。
家じまいの結論

家じまいは「思い立った人が一人で動く」と必ずもめます。最初にやるべきは家族・親族での方向性の合意です。
順番は決まっています。家族の合意→相続関係の確認→家財整理→不動産の処分→登記・税務手続き。この流れで進める説明が実務でも一般的です。
私が現場で見てきた中で、いちばんお金と時間を失うのは「とりあえず解体」と「とりあえず放置」の二択に飛びつくケースです。先に税金の特例と登記の期限を押さえておくだけで、数十万円単位で結果が変わります。
実家じまいとは
実家じまいとは、親などが住まなくなった実家を整理・処分して手放す一連の行為のことです。

片付けだけを指すのではありません。家財整理に加えて、相続登記、権利関係の整理、そして解体・売却・賃貸といった処分まで含む広い概念です。
正直に言うと、この「範囲の広さ」を最初に理解していない人が多いです。家の中の物を捨てれば終わり、と思って始めると、登記や税務で足止めを食らいます。
実家じまいが増えている理由
実家じまいが増えている背景には、放置した空き家を巡る制度の厳格化があります。
2024年4月1日からは相続登記が義務化され、所有者不明土地・建物の管理制度も同じタイミングで整備されました。名義をあいまいにしたまま放置する選択肢が、制度的に取りにくくなっています。
加えて、2023年4月27日には相続土地国庫帰属制度が始まりました。一定の要件を満たせば、いらない土地を国に引き取ってもらえる制度です。
私の感覚では、ここ数年で「いつかやろう」が「期限内にやらないと過料」に変わったのが大きいです。動く理由ができてしまった、というのが実情です。
実家じまいのタイミング

実家じまいに最適なのは「親が元気なうち」です。これは私が現場で一貫して伝えていることです。
理由はシンプルで、物の要不要を判断できるのは本人だけだからです。親が亡くなってから始めると、家財整理と相続手続きが同時に襲ってきて、判断材料も足りません。
相続が起きた後の現実的な期限も意識しておきたいところです。相続登記は取得を知った日から3年以内。後述する空き家の3,000万円特別控除も、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡が条件です。
実家じまいにかかる費用の目安
実家じまいの費用は、家財整理・解体・売却・転居の4つに分けて考えると把握しやすいです。

ここで正直に書いておきます。家屋の解体費用、相続登記費用、仲介手数料などには、全国一律の公的な標準額がありません。物件の条件や依頼先で大きく変わるためです。
だからこそ「相場いくら」と決め打ちせず、複数業者に見積もりを取って比較するのが唯一の正解だと考えています。次の章からは費用が発生する場面ごとに、何が値段を左右するのかを整理します。
| 場面 | 主な内容 | 費用が変わる要因 |
|---|---|---|
| 家財整理・不用品回収 | 家の中の物の処分 | 物量・間取り・搬出のしやすさ |
| 家の解体 | 建物を取り壊し更地にする | 構造・延床面積・立地・廃材 |
| 売却 | 仲介手数料・登記関連 | 売却価格・依頼先・権利関係の整理 |
| 転居・住み替え | 親の新居への引っ越し | 移動距離・荷物量・新居の費用 |
不用品回収にかかる費用
不用品回収の費用は、物量と間取り、そして搬出のしやすさで決まります。
全国一律の標準額はありません。ここで具体的な金額を書かないのは、ぼかしているのではなく、確かな出典のある数値がないからです。
現場で見ていて費用を押し上げるのは、2階からの大型家具の搬出と、屋外の物置・庭木です。親が元気なうちに少しずつ減らしておくと、最終的な回収費は確実に下がります。
売却時にかかる費用

売却時には、仲介手数料に加えて、相続登記や名義の整理にかかる費用が発生します。
これらも全国一律の公的な標準額はありません。仲介手数料は売却価格に連動し、登記費用は権利関係の複雑さで変わります。
見落とされがちなのが、相続登記を済ませていないと売却そのものが進まない点です。売る前提なら、登記は早めに片付けておくべきです。
家の解体にかかる費用
家の解体費用に全国一律の標準額はなく、構造・延床面積・立地・廃材の量で大きく変わります。

覚えておきたいのは補助金の存在です。自治体の空き家除却補助は、解体費用の1/5〜1/2程度、上限30万〜100万円程度という例が多いとされますが、これは民間で整理された情報で、自治体ごとの差がとても大きいです。
私が同行した現場でも、解体前に補助の申請が必要なのに、先に壊してしまって対象外になった例がありました。順番を間違えると補助はゼロです。
転居や住み替えに伴う費用
転居費用は、親の新居の費用と引っ越し費用の合計で考えます。
これも標準額のある世界ではありません。移動距離、荷物量、新居が賃貸か施設かで総額が変わります。
私の経験上、家じまいで最も感情的にこじれるのが、この転居先選びです。費用の話の前に、親本人がどこで暮らしたいかをきちんと聞く時間を取ってください。お金より先に、ここの合意がないと話が進みません。
実家売却時にかかる税金の注意点

実家を売って利益が出ると譲渡所得税がかかりますが、一定の空き家には最大3,000万円を控除できる特例があります。
この特例の対象は、原則として昭和56年5月31日以前に建築された家屋などで、要件を満たすものに限られます。
見落としやすい条件が2つあります。売却代金が1億円以下であること。そして、親子・夫婦など特別な関係者への売却は対象外であることです。身内に安く譲るつもりだと使えません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 控除額 | 譲渡所得から最大3,000万円 |
| 建築時期 | 原則 昭和56年5月31日以前に建築された家屋など |
| 適用期限 | 相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで |
| 売却代金 | 1億円以下などの要件 |
| 対象外 | 親子・夫婦など特別な関係者への売却 |
購入時の契約書がないと譲渡所得税が高額になる
実家を売るなら、まず購入時の売買契約書を探してください。これがないと譲渡所得税が膨らむ可能性があります。

譲渡所得は「売った金額」から「買ったときの金額(取得費)」などを差し引いて計算します。取得費を証明する契約書が見つからないと、不利な扱いになり、結果として税負担が重くなることがあります。
親世代が数十年前に建てた家だと、契約書が本当に出てこないことが多いです。家財整理のときに、権利証・契約書・領収書の類はまとめて一カ所に避けておく。これだけは最初の片付けで徹底してください。
よくある質問
家じまいで読者からよく聞かれる3つに、短く答えます。
