実家じまいの手順と費用|失敗しないための完全ガイド

- 実家じまいの手順は「合意形成・現状把握・片付け・処分・解約・届け出」の6ステップで進める。
- 相続で不動産を取得した相続人は、相続を知った日から3年以内に相続登記の申請義務がある(怠ると10万円以下の過料)。
- 相続した空き家を一定要件で売れば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例が使える。
- 相続税の申告・納付は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内が期限。
- 全国の空き家は約900万戸、空き家率13.8%。放置すると特定空家として行政指導の対象になりうる。
実家じまい 手順の結論

実家じまいの全体像は、難しく考えず6ステップで把握すれば迷いません。所要期間は片付け中心なら2〜3か月、不動産の売却まで含めると半年〜1年が目安です。
難易度は中程度。家財整理は自力でもできますが、相続登記や税の申告は期限と専門知識が絡むので、士業の力を借りたほうが安全です。
| ステップ | やること | 期限・目安 |
|---|---|---|
| 1 | 親族で話し合い合意形成 | 早いほどよい |
| 2 | 実家の現状把握と方針決定 | 相続後すぐ |
| 3 | 家財の仕分け・遺品整理 | 1〜2か月 |
| 4 | 建物と土地の処分 | 数か月〜 |
| 5 | 各種契約の解約 | 随時 |
| 6 | 行政への届け出・税の申告 | 相続税は10か月以内、相続登記は3年以内 |
記事の要約
この記事は、実家じまいを「何から手をつけるか」で迷う人向けに、手順・費用・期限を一本につないで解説するものです。

私は相続実務を12年やってきて、遺品整理の現場にも何度も同行しました。そこで痛感したのは、手順そのものより「期限」と「親族の合意」でつまずく人が圧倒的に多いということです。
だからこの記事では、6ステップの流れに加えて、相続登記3年・相続税10か月・空き家特例3,000万円控除という3つの数字を軸に置いています。
実家じまいとは?今すぐ始めないと損をする理由とタイミング
実家じまいとは、誰も住まなくなる(住まなくなった)実家の家財を整理し、建物や土地を売却・解体・活用して手放す一連の作業です。
なぜ今すぐかというと、税の特例に期限があるからです。相続した空き家の3,000万円特別控除は、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることなどが条件になっています。
正直に言うと、私が見てきた中で一番もったいないのが、この期限を1〜2か月過ぎて控除を使い損ねたケースです。数百万円単位で税負担が変わることもあります。
実家じまいの意味と定義

実家じまいとは「家財整理+不動産処分+各種手続き」をまとめてやり切ることを指します。単なる片付けではありません。
片付けだけなら遺品整理業者で済みますが、実家じまいは登記や税の申告まで含むので、片付け・不動産・手続きの3領域が絡みます。
ここを混同して「片付けだけ頼んで終わったつもり」になると、相続登記が宙に浮きます。後で慌てる人が本当に多いです。
| 領域 | 主な作業 | 主な相談先 |
|---|---|---|
| 片付け | 家財の仕分け・遺品整理・不用品処分 | 遺品整理業者 |
| 不動産 | 売却・賃貸・解体 | 不動産会社・解体業者 |
| 手続き | 相続登記・滅失登記・税の申告 | 司法書士・土地家屋調査士・税理士 |
実家じまいが必要になる主なケース
実家じまいが必要になるのは、主に「親の施設入所」「親の死亡による相続」「親の一人暮らしへの不安」の3つの場面です。

このうち相続のケースでは、相続人の確定と名義の確認が出発点になります。被相続人名義かどうか、共有になっていないかは登記事項証明書で確認できます。
私の経験上、見落としが多いのが「実は祖父名義のまま」というパターン。これだと相続が二代分たまっていて、手続きが一気に重くなります。
- 親が高齢者施設に入所し、実家が空き家になった。
- 親が亡くなり、相続した実家に誰も住まない。
- 親の一人暮らしが不安で、生前に整理を始めたい。
空き家を放置する4つのリスク
空き家を放置する最大のリスクは、「特定空家等」に指定されて行政の是正指導や行政代執行の対象になることです。
倒壊や衛生上の問題がある空き家は、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき特定空家等として扱われ、指導や代執行の対象になります。
全国の空き家は約900万戸、空き家率は13.8%(2023年住宅・土地統計調査)。これだけ多いと、自治体の管理は年々厳しくなる方向です。
- 特定空家等に指定され、行政指導や行政代執行の対象になる。
- 管理が行き届かず、放火・倒壊・害虫などの近隣トラブルにつながる。
- 固定資産税を払い続けながら資産価値だけが下がっていく。
- 売却の特例期限を過ぎ、税負担を抑えられなくなる。
実家じまいを始めるべきタイミング

始めるべきタイミングは「相続が発生したらすぐ」です。理由は、相続税10か月・空き家特例3年・相続登記3年という3つの期限が同時に走り始めるからです。
相続税の申告・納付は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内。ここが一番短いので、最初に意識する期限です。
私なら、四十九日が済んだあたりで親族を集めて方針を決め、並行して名義の確認に入ります。動き出しが遅いほど選択肢が減ります。
| 手続き | 期限 | 起点 |
|---|---|---|
| 相続税の申告・納付 | 10か月以内 | 相続開始を知った日の翌日 |
| 相続登記の申請 | 3年以内 | 相続があったことを知った日 |
| 空き家3,000万円控除のための売却 | 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日 | 相続開始 |
実家じまいの費用相場と内訳
実家じまいの費用は「家財整理+解体(する場合)+不動産売却の諸費用+手続き費用」の合計で決まります。

このうち公式に上限が決まっているのが、不動産売却時の仲介手数料です。売買価格400万円超の部分は「売買価格×3%+6万円」+消費税が上限と定められています。
解体補助は全国一律ではなく自治体ごとに補助率・上限・条件が違うので、解体費は「住んでいる自治体の制度次第」と考えてください。
| 内訳 | 費用の性質 | ポイント |
|---|---|---|
| 家財の片付け・処分 | 量と物量で変動 | 自力分別で圧縮できる |
| 建物の解体 | 自治体補助の有無で変動 | 補助は自治体ごと |
| 不動産売却の諸費用 | 仲介手数料は上限が法定 | 400万円超は価格×3%+6万円+税 |
| 相続登記・滅失登記等 | 書類取得費・士業報酬 | 期限あり |
【総額】ケース別の費用シミュレーション
総額は「解体するか」「家財がどれだけ残っているか」で大きく変わり、解体ありのケースが最も高くなります。
はっきり言える数値は仲介手数料です。たとえば1,000万円で売れた場合、上限は1,000万円×3%+6万円=36万円、これに消費税が乗ります。
片付け費・解体費は地域差・物量差が大きく、信頼できる一律相場を出典付きで示せません。だからここでは数字を盛らず、必ず相見積もりで実額を取ってくださいとだけ伝えます。
| ケース | 主にかかる費用 | 確実に分かる数値 |
|---|---|---|
| 建物を残して売却 | 家財整理・仲介手数料・登記費用 | 仲介手数料の上限(価格×3%+6万円+税) |
| 解体して土地で売却 | 家財整理・解体費・仲介手数料・滅失登記 | 解体補助は自治体ごとに要確認 |
| 売らずに保有 | 固定資産税・管理費 | 特例期限を過ぎると控除不可 |
内訳1 家財の片付け・不用品処分費用

家財の片付け費は、自分でできる分別を増やすほど確実に下げられます。
手順はシンプルで、(1)残す・捨てる・保留の3つに分ける、(2)買取できる物を抜き出す、(3)残りを処分、の順です。ここまでできていれば、業者見積もりの精度がぐっと上がります。
つまずきやすいのが「保留」が山積みになること。保留は1部屋に集約し、四十九日や法要のタイミングで親族と一緒に判断すると進みます。うまくいかないときは、写真に撮ってデータで残し、現物は手放す方法が有効です。
- 家財を「残す・捨てる・保留」の3つに仕分ける。
- 買取に出せる家電・骨董・貴金属を抜き出す。
- 残った不用品を自治体回収や業者で処分する。
内訳2 建物の解体費用
解体費を抑える鍵は、自治体の解体補助を使えるかどうかの一点です。

解体補助は全国一律制度ではなく、補助率・上限額・対象条件が自治体ごとに異なります。まず役所の担当課に「老朽空き家の解体補助があるか」を確認してください。
解体後は建物滅失登記が必要です。これを忘れると、無いはずの建物に固定資産税の評価が残るなど面倒が起きます。土地家屋調査士に依頼すれば確実です。
よくある質問
最後に、現場でよく受ける質問に答えます。費用負担と期限の質問が圧倒的に多いです。
